Page25 「ずっと、ありがとう。」 川村倫太郎
「ずっと、ありがとう。」
先日、全国社会人サッカー選手権大会にて19年のサッカー人生に終わりを告げました。
毎朝グラウンドに行き、体温を測り、慣れないテーピングを巻いて、みんなと切磋琢磨していた習慣がなくなった今、引退を少しずつ実感しています。
こうした日常にも慣れ、自分もやっと書き留める気が起きてきたのでこの機会に感謝して綴らせていただきます。拙い文章ですが最後まで読んでいただけますと幸いです。
最後の1年間は思いもよらぬスタートからでした。
リーグ開幕戦。後半の頭から出場した束の間の出来事でした。自分の着地ミスでした。
「全治5か月」
トレーナーから宣言され、理解するまで、いや、理解ができませんでした。
サッカー選手として続けるのは最後の年と意気込んだにも関わらず、むしろ周りに迷惑をかけている自分が情けなくなりました。
手術をして足を曲げ伸ばししかできないリハビリをしている時は正直サッカーから逃げたくなりました。
しかし退院をしてグラウンドに向かうと「お前ならすぐ治るだろ鉄人(自分のあだ名です)」といつもと変わらず接してくれたみんなに救われました。
怪我をして、迷惑をかけて、長い間選手としてはプレーができなくてもチームの一員であることには変わらないと教えてくれたそんな気がしました。
怪我が治る時期にはシーズン終盤を迎え、自分は選手としてチームを救うことや勝ちに貢献することは難しいことがわかっていました。
ただ、唯一みんなとサッカーができるかもしれない最後の全国大会。そこでみんなと1試合でも多く試合をするために。そして自らが出場して、選手としてチームに貢献するために。
今、自分に何ができるのか考え常に行動し続けようと決意しました。
決意して自分なりにチームをサポートする中で気づいたことがあります。
それは「当たり前の裏には苦労があること」です。
人が当たり前だと思っている物事の裏にはいくつもの人の苦労があることを忘れてはいけません。
当たり前にグラウンドがあり、サッカーができること。
当たり前に試合日程が組まれ、その会場に行けば試合ができること。
当たり前にビブス、マーカーが置かれストレスなくアップができること。
当たり前にいつも支えてくれる人たちがいること。
次の日も試合がある夜中、眠たそうにしながらも1人ドライヤーでビブスを乾かすマネージャーの姿。
怪我した選手をどれだけ早くピッチに立たせてあげられるかを選手が知らないところで試行錯誤して行動してくれるトレーナーの姿。
そして自分と同じく大怪我をしても、チームのためにベンチから声を張り上げサポートするキャプテンの姿。
色々な人の様々な苦労を選手ではなく一歩引いた立場で見ることができたからこそ改めて気づくことができたのだと思います。
こうして振り返ると最後の1年はピッチ内での学びではなくオフザピッチでの学びがほとんどでした。
でもそれが試合に出た時には味方への1つ1つの気遣いに変わり、そして仲間の為に最後の1歩を振り絞ることに繋がったんだと思います。
そして有耶無耶にサッカー選手を続けるのではなくきっぱりと辞めることを決意し、短い時間の中でも思い切ってプレーができたこの1年間。そしてこれまでの19年間には感謝してもしきれません。
それは自分のために動いてくれた様々な人の苦労や支えがあってこそ成り立ったものです。
そんな様々な人に感謝を伝えて終わろうと思います。
同期へ
右も左もわからず入部したあの日から4年。思い通りな日常ではなかったかもしれない。けれど最後みんなの引退試合にカテゴリー関係なく駆けつける団結力の高さはこれまでにないものだったと思います。
サッカーから単位取得までナイスチームプレーでした!ありがとう!
CUのみんなへ
最後の年にみんなとプレーすることができて本当によかった。ほとんどの時間を一緒に過ごした同期はもちろん、ピッチ外では生意気でもピッチに入ると逞しい後輩にはとても感謝しています。来年はちょっと心配ですが必ずやってくれることを期待しています。頑張れ!
弟へ
最後の試合わざわざ遠くから見にきてくれてありがとう。身長は俺より10センチ近くデカいけど、そういうところはまだまだ可愛くて安心しました。また今度飲みにでもいこう。
両親へ
本当に19年間自分の好きなことをさせてくれてありがとう。感謝してもしきれません。
小学生の頃、自分のサッカーのことで苦労をかけてしまいチームを変わった時はもう辞めた方がいいのではないかと思った時もありました。
でも、サッカーを通じてできた友達と毎週のように自分の試合を見にきてくれる光景を見た時に続けてよかったと思えました。
もう毎週の様に試合はないけど鷲や翔登の試合をまたみんなで一緒に観にいけたらと思ってます笑
今まで本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
長生きしてね!
最後に
いつの日か何かを
変えられるチャンスを
必ずつかんで
そこからまた始めよう。
これは私が怪我をしていた時に聞いていた曲の歌詞です。
誰もが挫折する時があると思います。
ただ下を向いて生きてるだけじゃ何も変わらない。
大学4年間なんてあっという間に過ぎます。
いつの日、どんな時にチャンスが来てもいいように、そしてそのチャンスを掴めるように、今自分に何ができるのか、何を求められるのかを常に考えて生活していってほしいと思います。
こんなチーム1ヘタクソな私が最後に全国大会に出れたことは少なからずこうして生活していたからだと思います。
だから腐らず頑張れ。
誰かは必ず見ています。