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Page43 「違和感」 高野将伍

ーココロノオトー



中京大学サッカー部の学生トレーナーとして活動させて頂いた高野将伍です。

トレーナーとして活動していると選手から身体の違和感を訴えられることが多いと思いますが、今回は僕が学生トレーナーとして活動しながら覚えた違和感について書こうと思います。

 

 

僕はトレーナー活動をするにあたり「グラウンドで最も冷静でいること」を常に心がけてきた。なぜならトレーナーにとって選手の命を守ることが最大の使命であるからだ。試合中にチームメイトがゴールを決めた時も例外ではない。僕の仕事は喜びの輪に加わることではなく選手にボトルを渡すこと、グラウンドに異常がないか観察することである。ところが、筑波大学戦での得点、勝利の瞬間だけはその感情を抑えきれず控えめのガッツポーズと仲間とのグータッチを交わしてからボトルを渡しに行った。これまでの人生でここまで興奮できたのは、ワクワクドキドキしたのは、感情的になったのはいつ以来だろうか?そんなことを考えながらみんなが戦う姿をベンチで見守っていた。きっと僕はこの瞬間を味わうためにトレーナー活動をしてきたのかもしれないとさえ思う瞬間であった。しかし、これだけ感情が高ぶっていながらも僕の心の中には違和感があった。

 

この違和感に気が付いたのは大学3年生のころである。とにかく自分に与えられた仕事を全うすることに必死であった2年生までとは違い、3年生になってからは自分がどう活動すればこのチームに良い影響をもたらすことが出来るだろうかということを考えていた。しかしそのシーズンが終わる時、僕はトレーナーとして3度目の全国大会での敗北を経験し、自分の圧倒的な無力さを感じていた。そういったシーズンを過ごす中で、自分がチームの一員なることが出来ているのか、チームの勝利に貢献することが出来ているのかという違和感を覚えていた。

 

僕はこの違和感は選手と自分の存在が対等であるかという不安がもたらしたと考えた。

選手のみんなはとてつもない努力をしている。プロになるため、試合に勝つため、試合に出るため、メンバーに入るため。努力したからと言って報われることが約束されていない世界で毎日努力をしている。プロになってサッカーを続けることが出来るのかという不安の中過ごす日々がどれだけつらいものなのか、僕には想像もつかない。それに比べて僕はどうだろうか。同じだけの熱量を持って、覚悟を持ってグラウンドに来ることが出来ているだろうか。そういった不安がこの違和感を生んだのかもしれない。

 

最初は気が付きたくなかったと思っていた感覚であったが、改めてトレーナーとしての自分を見直す機会やそれによって得られた気づきなども多く存在した。3年生になり停滞していた成長を促してくれたこの違和感は今後も大事にしていきたい。

 

 

ただ自分が感じ、考えたことを綴った文章になってしまいましたが、向き合いたくないような感情や感覚からは多くの学びが得られるということが伝われば幸いです。

最後に4年間の感謝の気持ちを伝えようと思います。

 

選手の皆さんへ

素晴らしい景色を見せてくれてありがとうございます。どんな時でも真剣にサッカーと向き合い、当たり前のように努力を重ねる皆さんには頭が上がりません。こんなにも人の心を動かし、感動を与えることが出来るみんなのサッカーに携われたことに感謝します。

 

学生スタッフへ

共に活動してくれてありがとう。みんなの支えがなければ4年間活動を続けることはできませんでした。次の舞台は違いますが、またいつかスポーツの現場で会えることを楽しみにしています。

 

スタッフの方々へ

4年間大変お世話になりました。そして僕に役割を与えてくれてありがとうございました。

スタッフの方々の選手やサッカーとの向き合い方、立ち振る舞いからは多くのことを学ぶことが出来ました。今後はさらに中京大学サッカー部の発展に貢献できるように精一杯努力いたします。

 

両親へ

選手をやめると話した時、愛知の大学に行きたいと話した時、悲しい思いをさせたかもしれないし、言いたいことはたくさんあったと思います。それでも最後は僕が選んだ道を応援してくれてありがとうございました。最後の試合の後、中京大学に行かせて良かったと言ってくれてすこしほっとしました。この道を歩ませたこと後悔させないように頑張ります。

 

中京大学サッカー部で過ごした4年間はかけがえのないものでした。関わってくれた皆さん、本当にありがとうございました。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。