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Page22 「置かれた場所で咲きなさい」 越川颯太

ココロノオト~season2~


今回引退ブログを担当させていただきます、静岡学園高校出身の越川颯太です。


学生サッカー引退をテーマにこれから文を綴っていくわけだが、様々な感情が交錯したうえでの文章であるため、大目に見ながら読んでいただけると嬉しい。

 

 最初に、私はまだ「引退」したという実感があまり湧いていないのが正直なところある。それはサッカーに対しての未練が引退したくないと我儘を言っているのか、それとも何となく毎日を過ごしたことによる違和感の無さなのか。それは分からないが、この文章を書きながら私の“本音”を打ち明かして答え合わせが出来ればなと思う。

 

周知の事実だと思うが、同期の皆より私は1つ歳を取っている。(多田ちゃんを除いて。)そのため、1つ下には絶対に負けられないというプレッシャーに加え、プロになりたいという不可能に近い夢を抱いたまま大学サッカーがスタートした。しかし、時代はコロナウイルス大流行。私が思い描いていた学生生活とは180度と言っても過言ではないほど違っていた。実際にサッカー部の活動が始まったのも6月末で、かなりの制限が設けられている中で如何に自分の存在を価値づけるか模索していくことに必死だった。私なりに出した答えは、人脈をとにかく増やすことだった。私にしかできないことは、同期とも深い関係性を築きつつ、タメ(一個上)ともフラットに関係性を作ることが出来る。ここに私自身の価値を見出すことができた。多数の部員と関わりを持っていくことで各々のサッカーに対しての考え方や熱量が伝わってくる。多くの価値観を知ることが出来たら、自身の価値観にもいい変化があるかもしれない。そう思っていた。だが、サッカーに対して高い志を持つ仲間もいる反面、様々な誘惑に手を出す者(それが悪いとは思っていない)も存在した。

それを理解し始めた大学2年時。正直、ここで一旦サッカーに対しての熱が途切れてしまった。つまり、私は様々な価値観に触れあった末、楽を選んでしまったのだ。そんな中で突如、愛知選手権の出場機会が巡ってきた。天皇杯予選がかかった重要な試合であったが、当時のモチベーションで最良のパフォーマンスなど出来るはずもなく、ハーフタイムで交代を余儀なく命じられた。ここで、不思議なことに悔しさという感情が湧いて来ず、選手として終わったなと深く感じた。そのシーズンは当時3年の智也や鷲野など自分とタメの彼らが全力で熱を注いでいた。彼らの振舞いを見て私は羨望に近い感情を持っていた。これだけ打ち込めるものがあって羨ましい。チーム解散時涙が出るほどやり切れていて羨ましい。自分も同じ環境にいるはずなのにどうしてこんなに終わり方に差が出るのだろう。私はここで決意した。「残された時間はやり切りたい。」かなり抽象的だが、とにかく置かれた環境で全力を出し切ることが使命と感じた。

そうして迎えた3年時。シーズン通して試合出場時間15分と1年前より減ったものの、毎日に目的を持って全力で過ごすことが出来、かなり充実していた。そこから就職活動との戦いにかなり消耗したが、「やり切る」という点においては変わらないと思い、納得いくまで全力でやり切った。

そして最高学年になり、少し心にも余裕が生まれた。永冨大監督のもと、悔いの無いようにやり切ることに加え、「後輩に対して何か残したい」と本気で思い、U22Bという最下層チームであるが練習時はバチバチやり合い、練習外では後輩と積極的に会話するようにとオンオフをはっきりさせた中で関係性構築にも努めた。そういうことを徹底したことにより私自身2つの収穫があった。1つはありがたいことに後輩から話しかけてくれる機会が増え、チーム力向上に少しでも寄与できたのではないかという満足感。あと1つは、永冨大監督の不機嫌時のサンドバックになったことだ。こういう役を担いながらも当初目標にしていた上位リーグ残留を達成し、この上ない達成感を感じたのは今でも覚えている。最後の2~3試合は他カテゴリから多くの選手が応援に駆けつけてくれ、最高の環境でプレーできたこと、引退試合に関してはその応援部隊たちが栄光の架橋を歌ってくれたことがすごく幸せでずっとこの環境にいたいとさえ思った。

 

紆余曲折あったが私の大学サッカーは最高の形で幕を閉じた。

 

 

こうして大学サッカー生活を軽く文に起こしてみたが、冒頭で記した「引退」した実感がない本当の理由はもう答えが出ている。結果的に両方当てはまっていることに気づいた。

この4年間でかけがえのない経験をすることができた。私は今非常に幸せ者だ。これから先、この経験からどのような人生を歩むのか。私自身も非常に楽しみである。

 

後輩に残す言葉としては、「置かれた場所で咲きなさい」と伝えておく。何を偉そうにと思う者もいるかもしれないが、ここまで読んでくれた者はその重要性に少しでも気づいてくれたと思うし、そうであってほしい。そうでなければ私の文章力に問題があるため、気づけなかった者はぜひ聞きに来てほしい。

 

父親・母親に残す言葉は、「手紙で泣かせてくるな」と言いたい。ひねくれ者だったかもしれないが、引退試合後に「私たちのもとに生まれてきてくれてありがとう」は反則だろう。でも人生で1番深く沁みました。ありがとう。

 

 

これまでのサッカー人生に関わってくださったすべての方々に心から感謝申し上げます。

ありがとうございました。